ちょっと退屈

「僕僕先生」仁木英之

ファンタジーノベル大賞の受賞作というだけあって、
下手ではない。
設定もいいし、そこそこ読める。
でも、今までの受賞作に感じられた、
凄みというか、アクというかが感じられなくて、
少々退屈だった。

日本ファンタジーノベル大賞と言えば、
大人のエンターテイメントという雰囲気を持つ、
少しばかり小難しいが、実力者揃いという賞だった。
あの六番目の小夜子が受賞を逃したほどだったはず。

けれども、この作品は軽くて大衆的。
次点に選ばれるならばいいけれど、
大賞がこれか、という残念感は否めない。

表紙はかわいらしくて、
女性読者をターゲットにしているのかと思いきや、
ノリはオヤジっぽかったし。

次回の受賞作は、大好きか大嫌いかの両極端に分かれるくらい、
個性的な作品が選ばれて欲しい。

僕僕先生 僕僕先生
仁木 英之 (2006/11/21)
新潮社

この商品の詳細を見る

テーマ : 読了本 - ジャンル : 本・雑誌

エレガント&クール

「がらくた」江國香織

何てことのない普通の日常生活なのに、
江國さんの手にかかると、
優雅で、クールで、
そしてちょっと変わった世界に見えてきます。

登場人物と、同じ場所を旅しても、
同じ物を食べても、同じ本を読んでも、
実際はこうはならない。
でも、江國さんの小説みたいだったらなあ・・・と、
憧れる人って多いのではないでしょうか。

せめて、本を読んでいる間だけでも、と
ちょっといいお酒を片手に読了しました。
(単に飲みたかっただけなんだけど)

がらくた がらくた
江國 香織 (2007/05)
新潮社

この商品の詳細を見る

テーマ : - ジャンル : 本・雑誌

死ぬときに残す物

「落下する花」太田忠司

人が亡くなる時、必ず月導が現れる。
それは、物だったり、匂いだったり、音だったりして、
故人の、人となりや人生に関係する物ではない。

月導、そして月導から故人の最期の思いを読み取る月読、
という設定が、とても面白い。

氷柱みたいな月導や、雷、ガス状の物など、
不思議な物が次々に現れて、
自分だったら果たしてどんな月導になるんだろう?
と、想像してしまった。

でも、自分が最期に思っていた事が、
他の人に知られてしまうなんて、
変な置き土産をしてくようで、
なんか気恥ずかしいですね。

落下する花―月読 落下する花―月読
太田 忠司 (2007/03)
文藝春秋

この商品の詳細を見る


月読(つくよみ) (本格ミステリ・マスターズ) 月読(つくよみ) (本格ミステリ・マスターズ)
太田 忠司 (2005/01)
文藝春秋

この商品の詳細を見る

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

本の中で旅をする

「溶ける街 透ける路」 多和田葉子

まずは装丁に惚れました。
思わず手にとってしまう、美しい装丁。
実に私の好み、一直線!でした。

そして、美しい装丁に合う美しい文章。
海外の言語をベースとした、日本人作家さんの文章って、
独特のテイストが有って大好きなのです。
梨木香歩さんとか、法月ゆりさんとか、青木奈緒さんとか。

簡潔で、潔く、美しい。
男性なのに、女性よりも美しい仕草を持つ、
女形のような、そんな感じなのでしょうか。

本書は、各国の街を訪ね歩いたエッセイなのですが、
いわゆる旅行記を読んだ時よりも、
見知らぬ街に旅をしたような、そんな感覚にさせられました。

溶ける街透ける路 溶ける街透ける路
多和田 葉子 (2007/05)
日本経済新聞出版社

この商品の詳細を見る

テーマ : 紹介したい本 - ジャンル : 本・雑誌

もう古い

「Gボーイズ冬戦争」石田衣良

このシリーズも長い。
スタート時は、こういう系も有りかと
新鮮に思って読んでいたけれど、
もういい加減、古くさく感じてきた。

ストリートのガキだった主人公が、
様々な人や事件を通して成長していく所が良かったのに、
既に成長なんていう年齢ではなくなってきているし、
時事ネタを取り上げてはいるものの、
掘り下げ方が浅過ぎて、ペラペラ。
これで終わりかよ?と呆れてしまうストーリーばかり。

そもそも石田衣良って、世間で評価されているほどの
実力があるのだろうか?
得意の連作短編はこれだし、長編もいまいちな物ばかり。
顔を売ることよりも、本業に専念しては?と思ってしまう。

でも、世間が求めている、“売れる小説”って、
こういう軽い物なのかもしれないですね。

Gボーイズ冬戦争―池袋ウエストゲートパーク7 Gボーイズ冬戦争―池袋ウエストゲートパーク7
石田 衣良 (2007/04)
文藝春秋

この商品の詳細を見る

テーマ : マンガ - ジャンル : 本・雑誌

かっこ悪さが良かったです

「正義のミカタ」本多孝好

真夜中の五分前が2004年だったので、
ほぼ3年振り、本多孝好さんの新作でした。

ずいぶん路線を変えてきたな〜という印象ですが、
嫌いじゃないです。
どちらかというと、エンターテイメント寄りで、
親しみ易い、読み易い、五十嵐貴久路線。

今までは、スマートな印象の本多孝好でしたが、
かっこ悪い部分も持っている、
一般的な人物を描くのもいいんだな〜と思いました。

元々、力のある作家さんなので、
レンジを広く持って、楽しませて貰いたいです。

正義のミカタ―I’m a loser 正義のミカタ―I’m a loser
本多 孝好 (2007/05)
双葉社

この商品の詳細を見る

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

美しいミステリ

「玻璃の天」北村薫

久々の、北村薫のミステリ。
このまま純文へ行ってしまうのか?
まさか、純文でビックな賞をとってしまうのか??
と心配していましたが、
ようやっとミステリに帰って来てくれました。

本書は、“街の灯”の続編になるのですが、
前作よりも更に北村薫らしい、
私としては少々とっつきにくい世界になっておりました。
それはそれでいいのですが、
たま〜に、“盤上の敵”とか、時の三部作とか、
ああいう親しみやすい作品も恋しくなります。

ともあれ、北村薫はミステリ。
純文の作家さんで、美しい文章を書ける人は
沢山いらっしゃいますが、
美しい文章でミステリを書く人って少ないので。
ミステリ作家として、御大でいて欲しいです。

玻璃の天 玻璃の天
北村 薫 (2007/04)
文藝春秋

この商品の詳細を見る

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

好きです、エロマンガ島

「エロマンガ島の三人」長嶋有

とにかく長嶋有は大好きです。
辛いとき、理不尽を感じるとき、キレそうなとき、
長嶋有さんの作品を読むと、
ま〜いっか〜・・・って気分になれます。

一見、いい加減に書いていそうな文なのですが、
本当は、なかなか深い。
何度も読み返して、後から真意を(もしくは共感できる部位を)
感じたりもする。

今回の、“エロマンガ島の三人”は、
思わず手に取ってしまう題名なのですが、
まずは帯文句にぐっときました。

この夏、避暑地で、ホテルのバーで、
本を読んでいる美しい女性に声をかけようとしたら、
手にしている本がこの本だった!
というシチュエーション、切に希望します。

エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集 エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集
長嶋 有 (2007/05/31)
エンターブレイン

この商品の詳細を見る

テーマ : 紹介したい本 - ジャンル : 本・雑誌

ミステリ+女性の悩み

「ふたつめの月」近藤史恵

女性のミステリ作家さんには、
男女ともにファンがいる方と、
圧倒的に女性ファンが多い方がいらっしゃいますが、
近藤史恵さんは後者だと思います。

ミステリの部分と、女の人が抱えている様々な問題が、
半々くらいの比重で描かれていて、
それも結構深刻で重たい。

心やら体やらのコンプレックス・悩み等、
男の人が読んでも、なんだそりゃ?と思うような内容が
びしびし出てきます。

近藤史恵さんの作品のうち、苦手だと思う物も、
いいなあと思う物も、どちらの理由も重過ぎる事。
何のかんの言いつつ、結局、次作にも手を伸ばしてしまうのです。

“ふたつめの月”は、“賢者はベンチで思索する”の続編となりますが、
このシリーズは読み易いです。

ふたつめの月 ふたつめの月
近藤 史恵 (2007/05)
文藝春秋

この商品の詳細を見る


賢者はベンチで思索する 賢者はベンチで思索する
近藤 史恵 (2005/05/26)
文藝春秋

この商品の詳細を見る

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

できすぎ君達

「ドリームバスター4」宮部みゆき

私にとって、宮部みゆきさんの本は、
時代物>現代物>ファンタジーです。

時代物は、宮部みゆきさんの持つ、
真面目で、人情に厚い個性がマッチしていて、
雰囲気が良しです。長過ぎの物は嫌だけど。

現代物は、ちょっと泥臭く感じてしまって、
肩が凝ってしまいます。
特に長編はまどろっこしい。
それが持ち味なのかもしれないけれど、
余分な部分が多すぎる!話が進まない!
と、思わず斜め読みしたくなります。
火車はよかったなあ。あと、中編&短編は好きです。

ファンタジーなのですが、
あの文科省推薦的なキャラクター達がダメ・・・。
登場人物が、どんな境遇の設定でも、
みんなできすぎ君みたいに感じちゃうんですよね。
ファンタジーなんだから、もっと魅力のあるキャラで、
スピード感あふれるストーリーで、
独特の世界観を描いて欲しい、などど文句を言いたくなります。

そんなわけで、ドリームバスター4も、
相変わらず、宮部みゆき的ファンタジーだなあと思ってしまいました。

ちなみに、1番好きなのは、“初ものがたり”です。
先日、お料理を実際に作ったという本を見ましたが、
レシピが載っていなくて残念!でした。

ドリームバスター 4 (4) ドリームバスター 4 (4)
宮部 みゆき (2007/05)
徳間書店

この商品の詳細を見る


初ものがたり 初ものがたり
宮部 みゆき (1995/07)
PHP研究所

この商品の詳細を見る

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌

タイトルはいいのですが・・・

「中等部超能力戦争」藤野千夜

漢字オンリーのタイトルにぐっときてしまい、
凄く期待したのですが、
内容はごくごく普通の、中学生友情ネタでした。
藤野千夜さんだもんなあ・・・。

女の子って、仲良さそうに見えて、
実はすっごく仲が悪かったり、
優しい口調なのに、よく聞いていると残酷な事を言ってたり。
どろどろしてるのが怖い。

女流作家さんの、こういう系の本って
読了感が悪くて苦手です。
読み易さは抜群なのですが。

どなたか、このタイトルで、
密度の高いエンターテイメントを書いてくれないかなあ・・・。

中等部超能力戦争 中等部超能力戦争
藤野 千夜 (2007/05)
双葉社

この商品の詳細を見る

テーマ : 読んだ本。 - ジャンル : 本・雑誌