待っていました!

「映画篇」金城一紀

本を読んで泣く、なんて事はあまりないのですが、
思わずホロリとさせられました。
うまい!うますぎる!ツボをつくのが。

短編集であって、短編集以上。
短編とか、長編とか、そういった区切りではなく、
1冊で1つの作品として完成していると、
“対話篇”の時も、そう感じたのですが、
今回はそれ以上の流れを持った1冊でした。

毎回、待って待って、ようやく出た〜!と小躍りしちゃう
金城一紀さんの新作ですが、
待った甲斐があります。
いつもそう思いますが、今回はひとしおでした。

映画篇 映画篇
金城 一紀 (2007/07)
集英社

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毎日がごちそう!

「いしいしんじのごはん日記」いしいしんじ

この本を読んで、もしかして我が家って小食&粗食・・・?
と初めて思いました。

毎日毎日、お祝い事があったかのように、
すっごい美味しそうな魚酒魚酒・・・!!
しかも品数もすごくて、
お刺身に塩焼きに煮付け、更に炒め物や、おしたし等々。

お酒好きにはパラダイスな生活です。
羨ましい、でも怖い・・・と、
身悶えしてしまいました。

毎日の食生活だけではなく、
いしいしんじさんの創作活動の様子や、
ご家族の様子までオープンで、
読み応えある、長く楽しめる文庫本でした。

いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫) いしいしんじのごはん日記 (新潮文庫)
いしい しんじ (2006/07)
新潮社

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演劇を見ているようでした

「木洩れ日に泳ぐ魚」恩田陸

小劇場で、目の前で2人の役者が演じる舞台を見ているような、
そんな作品でした。

2人が、ただ喋っているだけなのに、
怖かったり、追いつめられたり、
過去を懐かしんだり、色々な感情が沸き上がってくる。

こういう場の作り方は、恩田陸さんならではで、
こういう力を持っている作家さんって、
本当に数少ない。

幕が降りるように、綺麗に完結されたこの作品には、
何も言うことは無しです。
やっぱり恩田陸は凄い。

木洩れ日に泳ぐ魚 木洩れ日に泳ぐ魚
恩田 陸 (2007/07)
中央公論新社

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このミス

「ブレイクスルー・トライアル」伊園旬

このミス、優秀賞→大賞と続けて読みました。
どちらも激しくエンターテイメントで、
さら〜っと読めました。

つっこみ所としては、本書の方が多いのですが、
勢いというか、エンターテイメント色の強さというかは、
本書の方が上のような気がします。
完成度としては、どっちもどっちかなあ・・・。

携帯の電波も届かないような無人地帯に作られた、
難攻不落の建物に侵入し、難関を突破して脱出するという、
どこぞのハリウッド映画っぽいストーリーなんですが、
設定は甘いし、難攻不落では全然なかったし、
何というか、しょぼい・・・。
漫画の原作とか、ライトノベルズならこれでOKなんですがね。

ところで、友人に内容を話した所、
それのどこがミステリなの?と聞かれました。
応募要項では、エンターテインメント重視の、
広義のミステリとなっているのですが、
これくらいミステリが軽視されるのであれば、
“このエンターテインメントがすごい!”にすべきです。
略して“このエン”。
何か、しまりが悪いです。

ブレイクスルー・トライアル  ~第5回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作~ ブレイクスルー・トライアル ~第5回『このミステリーがすごい!』大賞 大賞受賞作~
伊園 旬 (2007/01/11)
宝島社

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選挙小説

「当確への布石」高山聖史

選挙小説というジャンルが、面白かったです。
でも、選挙戦をもう少しクローズアップして欲しかったかも。

クリーン過ぎる候補者と、さら〜っと流れていく選挙戦に、
実際の選挙って本当にこんなんなの?
って気にさせられました。

生々しかったり、汚かったり、
思いもかけない出来事が次々に押し寄せてきたり、
かわぐちかいじの“イーグル”日本版みたいな、
スピード感あふれる選挙戦が読みたかったです。
最後の最後まで、当落がわからなくって
ハラハラさせられるような。

選挙小説や、選挙漫画がヒットしたら、
国民の政治への感心も変わってくるのかも。
こういうジャンル、どんどん書いて欲しいです。

当確への布石 当確への布石
高山 聖史 (2007/06)
宝島社

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読書クラブ

「青年のための読書クラブ」桜庭一樹

お嬢様学校で起きる、いかにも女の子らしい事件の数々。
桜庭一樹さんお得意のジャンルです。

女の子の世界って、才能は勿論なんだけれど、
容姿の優劣がうんと先に立つ、という所が、
残酷だなあと思われます。
そして、それはいつの時代でも同じなんですよね。

それにしても、読書クラブっていいですね。
文芸部っていうと、創作したり寄稿したり、
積極的そうで引いてしまいますが、
自由に本を読み、感想を言い合うくらいの
集まりなら参加してみたくなります。

青年のための読書クラブ 青年のための読書クラブ
桜庭 一樹 (2007/06)
新潮社

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区切りのマーク?

「でかい月だな」水森サトリ

いかにもすばる文学賞らしい!という作品でした。
途中から、妙にファンタジックになってしまった所が、
ちょっと馴染めなかったかも。
新人さんらしい、青さ&若さが感じられましたが、
結構年齢が高い新人さんなんですね・・・。

最近、章を細かく区切っている作品に当たる事が多いです。
伊坂幸太郎さんとか、森見登美彦さんとか、
他にもかなりいらっしゃいますが、
力がある方だと、それが全くストレスに感じません。
むしろ心地よい間として、後になって、
区切られていたんだな〜と気付くくらい。

でも、この区切りが妙にストレスに感じる作品もあります。
ぶちぶち切れてて、その度に現実に還ってしまったり、
未熟さを感じてしまったり。

そういう作品に出会ってしまった時には、
あの章の区切りのマーク(何て名前なんだろう?)が、
ひどく憎たらしくなってしまいます。

でかい月だな でかい月だな
水森 サトリ (2007/01/06)
集英社

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やわらかい頭

「みずうみ」いしいしんじ

いしいしんじさんの作品は、
外国の古い民話のような感じがします。
童話ではなく、民話なので、
適度に穏やかで、適度に残酷。
あくまで大人向けの、有りそうで無いお話。

ここ数作の中で、妙に残酷に感じる物があって、
読むのを躊躇していましたが、
本書は穏やかで親しみ易かったです。

こういう作品に触れると、
いしいしんじさんの頭って、
どうしてこんなに柔らかいのだろう?
どういう構造をしているんだろう?
って思ってしまいます。

みずうみ みずうみ
いしい しんじ (2007/03/16)
河出書房新社

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